大切なギターの収納方法、皆さんはどうしていますか?特に、ギターをケースごと収納する場合、「ギターはケースに入れて寝かせて保管してもいい?」や「ギターを長期保管するにはどうしたらいい?」といった疑問が浮かぶことも多いでしょう。
また、日本の気候では、ギターを冬に保管する方法や、ギターをハードケースに入れて保管するときの湿度はどのくらいが適切か、といった悩みも尽きません。ギターをしまいっぱなしにしておくとどうなるのか、そのリスクを知ることも重要です。
この記事では、ギターをハードケースに置くときの置き方や、意外と知らないギターのソフトケースの置き方、さらには「ギターの保管にハードケースはいらないのでは?」という疑問にもお答えします。便利なギターケース収納ラックの活用法まで、ギターを最適な状態で保つための知識を網羅的に解説していきます。
この記事のポイント
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ギター収納をケースごと行う際の基本
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ギターはケースに入れて寝かせて保管してもいい?
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結論から言うと、ギターをケースに入れた状態で寝かせて(平積みして)保管するのは避けるべきです。ギターにとって最も負担の少ない保管方法は、立てて置くことです。
なぜなら、ギターのネックは弦の張力によって常に大きな力がかかっているデリケートな部分だからです。寝かせて保管すると、ギター自体の重みがネックに不均一にかかり、ネックの反りやねじれを引き起こす原因になりかねません。特に複数のギターを積み重ねて保管するのは、下のギターに過大な圧力がかかり、最悪の場合、破損につながるため絶対にやめましょう。
また、床に直接寝かせて置くと、誤って踏んでしまったり、上に物を落としてしまったりするリスクも高まります。このような不慮の事故を防ぐためにも、ギターは立てた状態で保管するのが基本です。
平積み・寝かせ置きの危険性
ギターを寝かせて保管すると、ネックへの不要な負荷や外部からの衝撃リスクが高まります。大切なギターを守るため、必ず立てて保管することを心がけてください。
ギターをしまいっぱなしにしておくとどうなる?
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愛着のあるギターでも、しばらく弾かずにケースの中に入れっぱなしにしてしまうことはあるかもしれません。しかし、適切なメンテナンスをせず長期間放置すると、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
最も懸念されるのが、湿度変化による木材へのダメージです。日本は季節による湿度変化が激しいため、ケース内もその影響を受けます。湿度が高すぎると、木材が水分を吸って膨張し、ネックが逆反りしたり、カビが発生したりします。逆に乾燥しすぎると、木材が収縮して指板やボディにひび割れが生じることや、ネックが順反りする原因となります。
他にも、弦やフレットといった金属パーツに錆が発生し、演奏性やサウンドに悪影響を及ぼすことも考えられます。このように、ギターをしまいっぱなしにしておくと、気づかないうちにコンディションが悪化し、修理が必要な状態になってしまうのです。
「久しぶりに弾こうと思ったら、弦がサビサビで音もおかしい…」なんて事態は避けたいですよね。定期的なチェックがギターの寿命を延ばします。
ギターをハードケースに入れて保管するときの湿度は?
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ギターの保管環境で最も重要な要素の一つが湿度管理です。特に、密閉性の高いハードケースで保管する場合、ケース内の湿度を適切に保つことがコンディション維持の鍵となります。
一般的に、ギターの保管に最適な湿度は45%〜55%の範囲とされています。この湿度を維持することで、木材の過度な膨張や収縮を防ぎ、ネックの反りや木部の割れといった深刻なトラブルを回避できます。
ギター保管の最適湿度
湿度:45%~55%
この範囲を保つことが、ギターを最高の状態で維持するための目標です。人が快適だと感じる湿度とほぼ同じだと覚えておくと良いでしょう。
この最適な湿度を手軽に維持するために、ギター用の湿度調整剤の活用が非常に効果的です。湿度調整剤は、湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥しているときには水分を放出してくれる優れものです。ハードケースの中に湿度調整剤と、可能であれば小型の温湿度計を一緒に入れておくと、常にケース内の環境を把握でき、安心して保管できます。
ギターを長期保管するにはどうしたらいい?
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数ヶ月以上ギターを弾く予定がない場合、ただケースにしまうだけでなく、いくつかのポイントを押さえた「長期保管モード」にしておくことが大切です。これにより、次に弾くときも良いコンディションを保つことができます。
1. 全体をクリーニングする
まず、保管前にギター全体の汚れをきれいに拭き取ります。弦や指板、ボディに付着した手垢や汗は、放置すると錆やシミの原因となります。クロスで弦を1本ずつ丁寧に拭き、指板は専用のオイルで保湿、ボディはポリッシュで磨き上げましょう。
2. 弦を少し緩める
弦を張ったままの状態では、ネックに常に約80kgもの張力がかかっていると言われています。この状態で長期間放置するとネックが順反りする原因になるため、ペグを1周から1周半ほど回して弦を少しだけ緩めておきましょう。完全に緩めきってしまうと、今度は逆反りの原因になる可能性があるため、「少しだけテンションを弱める」のがポイントです。
3. ハードケースと湿度調整剤を用意する
前述の通り、長期保管には外部の衝撃や環境変化からギターをしっかり守ってくれるハードケースが最適です。そして、ケース内には必ず湿度調整剤を入れ、湿度を45%~55%に保つようにしてください。
4. 保管場所を選ぶ
直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所、温度変化の激しい場所は避けましょう。クローゼットの中など、比較的温度・湿度が安定している場所が理想的です。
ギターを冬に保管する方法は?
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冬場はギターにとって最も過酷な「乾燥」の季節です。特に暖房を使用する室内は湿度が20%以下になることも珍しくなく、対策を怠るとギターに深刻なダメージを与えてしまいます。
冬の保管で最も重要なのは、徹底した加湿と保湿です。スタンドで保管している場合は、加湿器を使用して部屋全体の湿度を40%以上に保つことが望ましいです。ただし、加湿器の蒸気がギターに直接当たらないように注意してください。
ハードケースで保管している場合でも、外気の乾燥の影響は受けます。ここでも湿度調整剤が役立ちますが、特に乾燥がひどい場合は、ギターのサウンドホールに取り付けるタイプの保湿器(ギターヒューミディファイアー)を併用するとさらに効果的です。これは、湿らせたスポンジからゆっくりと水分を放出し、ギター内部の乾燥を防ぐアイテムです。
急激な温度変化にも注意
寒い屋外から暖かい部屋にギターを持ち込んだ際は、すぐにケースから出さないようにしましょう。急激な温度変化は塗装にダメージ(ウェザーチェック)を与えることがあります。ケースに入れたまま30分~1時間ほど置き、部屋の温度にゆっくりと慣らしてから取り出すのがおすすめです。
ギター収納をケースごと行うための実践知識
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ギターをハードケースに置くときの置き方は?
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ハードケースはその頑丈さから、ついラフに扱ってしまいがちですが、正しい置き方をしないとギターに負担をかけてしまいます。ハードケースを保管する際の基本は、「ヘッド側を上にして、縦に立てて置く」ことです。
この置き方が、ネックに最も負担がかからず、ケース自体の安定性も保てます。壁に立てかける際は、倒れてこないように安定した場所に設置しましょう。
もし、スペースの都合で縦置きが難しい場合は、ケースの持ち手(グリップ)が付いている面を上にし、横向きに立てて置く方法もあります。この置き方であれば、平積みにするよりもギターへの負担を軽減できます。いずれにしても、ギターのボディが地面と平行になる「平置き(寝かせ置き)」は、前述の通り避けるべきです。特に、ケースの上に物を置くのは絶対にやめましょう。
知っておきたいギターのソフトケースの置き方
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ソフトケースは軽量で持ち運びに便利な反面、ハードケースに比べて外部からの衝撃に弱いというデメリットがあります。そのため、保管時の置き方にはより一層の注意が必要です。
基本的な置き方はハードケースと同様に、ヘッド側を上にして立てて置くのが原則です。しかし、ソフトケースは自立しにくく、非常に倒れやすいです。そのため、単に壁に立てかけるだけでは、少しの振動で倒れてしまい、ネック折れなどの致命的なダメージにつながる危険性があります。
ソフトケース保管の注意点
ソフトケースは衝撃吸収性が低いため、「倒さないこと」が何よりも重要です。部屋の隅など、人や物がぶつかりにくい安定した場所に置くことを徹底してください。
より安全に保管するためには、ギタースタンドに立てかけた状態で、上からホコリよけとしてソフトケースを被せておく、という方法も考えられます。持ち運びがメインで、家での保管は短時間という場合でも、置き方には十分な配慮が必要です。
ギターの保管にハードケースはいらない?
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「ギターの保管に、重くてかさばるハードケースは本当に必要なのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。結論としては、ギターの種類や保管期間、目的によって必要性は変わります。
日常的にギターを弾き、持ち運びの頻度が高い方にとっては、軽量なギグバッグ(クッション性の高いソフトケース)の方が便利な場面が多いでしょう。しかし、ギターを安全に長期間保管するという観点では、ハードケースに勝るものはありません。
ここでは、ハードケースとソフトケース(ギグバッグ)のメリット・デメリットを比較してみましょう。
ケースの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ハードケース | ・耐衝撃性が非常に高い ・密閉性が高く、湿度管理がしやすい ・長期保管に最適 |
・重くてかさばる ・持ち運びに不便 ・価格が高い |
ソフトケース | ・軽量で持ち運びやすい ・収納ポケットが多い ・価格が手頃 |
・耐衝撃性が低い ・湿度管理が難しい ・長期保管に不向き |
このように、「保管」を最優先するならハードケース、「持ち運び」を最優先するならソフトケース、と使い分けるのが賢明です。特に、高価なギターや、アコースティックギターのように環境変化に敏感な楽器は、自宅保管用としてでもハードケースを用意することをおすすめします。
省スペース化できるギターケース収納ラック
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ギターが複数本になると、ケースの置き場所に困るという問題が出てきます。部屋のあちこちに立てかけておくと、スペースを取るだけでなく、見た目も雑然としがちです。そんな悩みを解決してくれるのが、ギターケース専用の収納ラックです。
ギターケース収納ラックは、複数のケースをコンパクトかつ安全に、立てた状態でまとめて保管できるように設計されたアイテムです。床に直接置くよりも安定感があり、ケース同士がぶつかったり、ドミノ倒しのように倒れたりする心配がありません。
収納ラック導入のメリット
- 省スペース:複数のケースを1箇所に集約でき、部屋がすっきりする。
- 安全性向上:転倒リスクを大幅に減らし、大切なギターを守れる。
- 優れたアクセス性:どのギターケースも簡単に出し入れできる。
製品によっては3本用、5本用など、さまざまなサイズがあります。自分の所有するギターの本数に合わせて選ぶことで、コレクションを見栄え良く整理しながら、貴重な居住スペースを有効活用することができます。ギタリストのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させてくれる便利なアイテムと言えるでしょう。
まとめ:ギター収納はケースごと正しく行おう
この記事では、ギターをケースごと収納する際の正しい方法と注意点について、多角的に解説しました。大切なギターを常に最高のコンディションで保つために、以下のポイントを日々の保管に役立ててください。
- ギターの保管は寝かせるのではなく立てて置くのが基本
- 長期間しまいっぱなしにするとネック反りや錆のリスクがある
- 最適な保管湿度は45%から55%の範囲
- 湿度管理には湿度調整剤の活用が非常に効果的
- 長期保管前には全体の清掃と弦を少し緩める作業を行う
- 冬場の乾燥対策には加湿器やギター用保湿器が有効
- ハードケースはヘッドを上にした縦置きが原則
- ソフトケースは転倒しやすいので置き場所に細心の注意を払う
- 保管を重視するならハードケース、持ち運びならソフトケースと使い分ける
- ハードケースは衝撃に強く長期保管や湿度管理に適している
- ソフトケースは軽量で持ち運びに便利だが衝撃には弱い
- 複数のギターケースは専用の収納ラックを使うと省スペースで安全
- 保管場所は直射日光やエアコンの風が当たらない場所を選ぶ
- 急激な温度変化は塗装にダメージを与える可能性があるため避ける
- 定期的にケースから出して状態をチェックすることがギターの寿命を延ばす