ギターノイズが触っても消えない?原因と対策を徹底解説

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エレキギターを弾いていると避けられないノイズの問題。「ジー」というノイズはつきものですが、本来、弦や金属パーツに触れるとスッと消えるはず。しかし、「ギターのノイズが触っても消えない」「むしろ触ると増える」といった深刻な症状に悩んでいませんか?

ノイズがひどいと、練習や演奏への集中力も削がれてしまいます。もしかしたら、その原因は安いギターだからと諦めているかもしれません。実は、エレキギターのノイズは触ると消えるのが正常な状態なのです。

この記事では、ギターのノイズ対策として重要なアースやシールドの役割から、シールディングはノイズ対策に有効?といった専門的な内容まで、分かりやすく解説します。万が一の際にエレキギターのノイズ修理を依頼する前に、ご自身でできる原因の特定と対策を一緒に探っていきましょう。

この記事のポイント

  • ギターノイズの基本的な仕組み
  • 弦に触れてもノイズが消えない原因
  • 自分でできる具体的なノイズ対策
  • 専門家への修理依頼を検討するタイミング
 

ギター ノイズ 触っても消えない深刻な原因

  • エレキギターのノイズは触ると消える?
  • 触ると増えるならアース回路の異常
  • ノイズ ひどいのは配線材の劣化かも
  • 安いギター ノイズとの関係について
  • ギター ノイズ対策 アースの重要性

エレキギターのノイズは触ると消える?

ギターナビ・イメージ

エレキギターから「ジー」というノイズが聞こえるのは、ある意味で正常な現象です。しかし、ギターの弦やブリッジ、シールドの金属プラグ部分に触れたときに、そのノイズが小さくなったり消えたりするのであれば、それはギターが正常に機能している証拠です。

これは「弦アース」と呼ばれる仕組みによるものです。ギターの内部では、弦やブリッジといった金属パーツが配線で繋がっており、最終的にシールドケーブルを通じてアンプのマイナス端子(アース)に接続されています。

空間には様々な電化製品から発せられる電磁波が飛び交っており、ギターのピックアップや配線がアンテナのようにこれを拾ってしまい、ノイズとなります。演奏者がギターの金属部分に触れると、人体がアースの役割を果たし、拾ってしまったノイズを地面へと逃がしてくれるのです。このため、弦に触れている間はノイズが消えるという訳です。

豆知識:アースとは?

アースは日本語で「接地」と訳されます。電気回路において、基準となる電位(0V)を持つ地面に電気を逃がすための接続を指します。これにより、回路が安定し、感電防止やノイズの抑制に繋がるのです。

したがって、「弦に触るとノイズが消える」のは故障ではなく、むしろアースが正常に機能している健全な状態と言えます。問題となるのは、この基本原則が通用しない「触っても消えない」あるいは「触ると増える」ケースです。

触ると増えるならアース回路の異常

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本来ノイズを逃がすはずの行為で、逆にノイズが増えてしまうのは、ギター内部のアース回路に深刻な異常が発生している可能性が非常に高いです。

これは、アースへ繋がるべき回路がどこかで断線している、または接触不良を起こしている状態です。アースが正しく機能していないギターに触れると、人体がより大きなアンテナとなってしまい、周囲のノイズをさらに積極的に拾ってしまう結果、ノイズが増幅されてしまうのです。

主な原因としては、以下のような点が考えられます。

  • アース線のハンダ外れ・断線:ギター内部の振動や経年劣化により、ボリュームポットやジャックに繋がっているアース線(通常は黒い線)のハンダ付けが剥がれたり、断線したりするケースです。
  • ジャックの接触不良:シールドを抜き差しするジャック部分のナットが緩み、内部で配線がグラついて接触不良を起こしている場合も考えられます。
  • 弦アースの断線:ブリッジと電気回路を繋いでいる「弦アース」の線が切れている状態です。この場合、弦に触れてもアースが取れないため、ノイズは消えません。

「触ると増える」という症状は、ノイズ問題の中でも重症度が高いサインです。ギターが「アース回路が壊れているよ」と教えてくれていると考え、早急な点検が必要になりますね。

この状態を放置しても改善することはないため、原因を特定し、適切に処置する必要があります。

ノイズ ひどいのは配線材の劣化かも

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弦に触れてもノイズが消えず、常に「ジー」や「ブーン」といった音がひどい場合、アースの問題だけでなく、ギター内部の配線材や電子パーツそのものが劣化している可能性が考えられます。

エレキギターは木材だけでなく、多くの電子部品で構成されており、これらは時間と共に劣化していきます。特にヴィンテージギターや長年使用されているギターでは、劣化がノイズの直接的な原因となることは珍しくありません。

主な劣化箇所と症状

配線材の被膜劣化
ワイヤーを覆っているビニールの被膜が硬化してひび割れたり、破れたりすると、シールド効果が失われます。これにより、外部からのノイズが信号線に直接飛び込みやすくなり、ノイズが増加します。

ポット(可変抵抗器)の劣化
ボリュームやトーンを調整する「ポット」が劣化すると、ツマミを回した際に「ガリガリッ」という不快なノイズ、通称「ガリノイズ」が発生します。内部の抵抗体が摩耗したり、ホコリや油分で汚れたりすることが原因です。

コンデンサの劣化
トーン回路に使われているコンデンサが劣化すると、音質の変化だけでなく、ノイズの原因になることがあります。特に古いタイプのコンデンサは、現在のものに比べて寿命が短い傾向があります。

注意点:湿気は電子部品の大敵

ギターを湿度の高い場所に長期間保管すると、金属パーツのサビだけでなく、電子部品の劣化を早める原因となります。ケースに入れて保管する際は、湿度調整剤を入れるなどの対策を心がけましょう。

これらの部品の劣化は、単にノイズを増やすだけでなく、音のハリやサステインが失われる原因にも繋がります。もしお持ちのギターが長年メンテナンスされていないのであれば、配線材を含めた電気系統全体のリフレッシュを検討するのも一つの手です。

安いギター ノイズとの関係について

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「安いギターはノイズがひどい」という話をよく耳にしますが、これはある程度事実と言えます。もちろん、価格だけで一括りにはできませんが、安価なギターは製造コストを抑えるために、ノイズ対策が簡略化されているケースが多いのです。

価格差がノイズ耐性に影響を与える主なポイントは以下の通りです。

項目 安価なギターの場合 高価なギターの場合
ピックアップ シングルコイルなど、構造的にノイズを拾いやすいものが搭載されがち。ポッティング(ロウ漬け)処理が甘く、ハウリングしやすいことも。 ノイズキャンセル機能を持つハムバッカーやスタックタイプが選ばれたり、高品質なシングルコイルが使われたりする。
内部配線材 細く、シールド性能の低いワイヤーが使用されることが多い。 ノイズに強いシールド線が使われるなど、高品質なパーツが選定される。
シールディング処理 ほとんどの場合、省略されている。ピックアップや配線を収めるキャビティが木材むき出しの状態。 キャビティ内に導電塗料が塗られたり、銅箔テープが貼られたりして、外部ノイズの侵入を防いでいる。

特に、シールディング処理の有無はノイズの量に大きく影響します。これは、電子回路全体を導電体で覆い、外部からの電磁波をシャットアウトする加工で、非常に効果的なノイズ対策です。

ただ、悲観する必要はありません。たとえ安価なギターであっても、後からシールディング処理を施したり、配線材を交換したりすることで、ノイズを劇的に減らすことは十分に可能です。むしろ、自分でカスタマイズしていく楽しみがあるとも言えるでしょう。

ギター ノイズ対策 アースの重要性

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これまでの説明で触れてきたように、エレキギターのノイズ対策を語る上で「アース」は避けて通れない、最も重要な要素です。

どれだけ高品質なピックアップやシールドケーブルを使っても、アースが正しく機能していなければ、ノイズの問題は根本的に解決しません。

ギター内部のアース回路は、木の根のように張り巡らされています。

  1. まず、各ピックアップ、ボリュームポット、トーンポット、スイッチ、そしてブリッジ(弦アース)といった、全ての金属パーツからアース線が出ています。
  2. これらのアース線は、多くの場合ボリュームポットの裏側などに1点に集められ、ハンダ付けされます。
  3. そして、その集約されたポイントから1本のアース線が出力ジャックのマイナス端子(スリーブ)に接続されます。
  4. 最終的に、シールドケーブルを通じてアンプへと繋がり、アースが完了します。

この回路のどこか一箇所でも接触不良や断線があれば、「アースが浮いた」状態となり、ノイズの原因となります。特に「弦に触れてもノイズが消えない」という症状は、このアース回路のどこかに問題があることを示す、非常に分かりやすいサインなのです。

アース回路は「ノイズの排水溝」

ギター内部のアース回路は、家全体の排水管のようなものと考えると分かりやすいかもしれません。様々な場所で発生した不要な電気(ノイズ)を集め、最終的に一つの出口(ジャック)から地面へ流す役割を担っています。この排水管が詰まったり、途中で壊れたりすれば、汚水が逆流するようにノイズが楽器内に溢れてしまうのです。

次のセクションでは、この重要なアース回路をどのように確認し、対策していくかについて具体的に解説していきます。

ギター ノイズ 触っても消えない時の解決策

  • 正しいギター ノイズ対策 アースの確認
  • ギター ノイズ対策 シールドを見直す
  • シールディングはノイズ対策に有効?
  • 改善しないならエレキギター ノイズ 修理

正しいギター ノイズ対策 アースの確認

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「ギターのノイズが触っても消えない」という問題に直面した際、まず最初に行うべきはアース回路の点検です。専門的な知識がなくても確認できるポイントも多いため、落ち着いてチェックしてみましょう。

ステップ1:ジャック部分の確認

最も簡単で、かつトラブルが起きやすいのがシールドを差し込むジャック部分です。シールドを差した状態でプラグ部分を軽く揺すってみて、「ガリガリ」「ブツブツ」という音が出る場合、接触不良の可能性があります。

対策:ナットの増し締め
ジャックを固定している外側のナットが緩んでいることが非常に多いです。適切なサイズのレンチやプライヤーで、ナットを時計回りに優しく締め直してみてください。これだけで症状が改善することも少なくありません。

注意:締めすぎに注意!

ナットを強く締めすぎると、内部の配線をねじ切ってしまったり、ジャック自体を破損させたりする恐れがあります。適度な力で、グラつかなくなる程度に締めましょう。

ステップ2:内部配線の目視確認

ジャックの増し締めで改善しない場合は、ギター内部の配線を確認する必要があります。ドライバーを使い、ピックガードや裏側のコントロールパネルを開けてみましょう。

チェックポイント:

  • ハンダの剥がれはないか:特にボリュームポットの裏側に集まっているアース線(黒い線が多い)のハンダが剥がれていないか、線が外れていないかを確認します。
  • 断線はないか:配線がどこかで切れていたり、被膜が破れて中の芯線が他のパーツに触れたりしていないかを確認しましょう。
  • 弦アースは繋がっているか:ブリッジ側から伸びているはずの弦アース線が、ポットなどにしっかりハンダ付けされているかを確認します。

もしハンダが外れているのを発見した場合、ハンダごてがあれば自分で修理することも可能です。ただ、自信がない場合は無理せず、次のステップに進むことをお勧めします。

目視で明らかな異常が見つからない場合、問題はシールドケーブルや他の要因にある可能性も考えられます。

ギター ノイズ対策 シールドを見直す

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ギター本体のアース回路に問題が見られない場合、次に疑うべきはギターとアンプを繋ぐ「シールドケーブル」です。見落としがちですが、シールドはノイズの大きな原因となり得ます。

シールドは単なる電線ではなく、音の信号を守るための重要な機材です。内部の信号線を網目状の線(シールド線)が覆う構造になっており、これが外部からの電磁波ノイズを防いでいます。このシールドが劣化すると、ノイズ耐性が一気に低下します。

ステップ1:別のシールドで試す

最も簡単な原因の切り分け方法は、正常に動作することが分かっている別のシールドケーブルに交換してみることです。もし別のシールドでノイズが消えたり、改善されたりした場合は、原因が元のシールドにあると断定できます。

ステップ2:プラグの清掃

シールドのプラグ(金属の先端部分)は、手で触れる機会も多く、皮脂や汚れが付着しやすい部分です。これが酸化して接触不良を起こし、ノイズの原因となることがあります。

対策:接点復活剤の使用
乾いた布や綿棒に接点復活剤を少量吹き付け、プラグの表面を優しく拭き上げます。直接スプレーすると液剤が内部に残り、逆にホコリを吸着させてしまう可能性があるため、布などを介して使用するのがポイントです。

シールドは消耗品

シールドケーブルは、ライブで踏まれたり、練習で抜き差しを繰り返したりと、常に物理的なストレスに晒されています。特に安価なシールドは耐久性が低いことも多く、内部で断線しかかっているケースも少なくありません。「音が細くなった」「特定の角度でノイズが出る」といった症状が出始めたら、寿命のサインかもしれません。消耗品と割り切り、定期的な買い替えを検討しましょう。

高品質なシールドは、ノイズに強いだけでなく、音質そのものを向上させる効果も期待できます。これを機に、少し良いシールドにアップグレードしてみるのも良い投資と言えるでしょう。

シールディングはノイズ対策に有効?

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答えは「非常に有効」です。前述の通り、特に安価なギターでは省略されていることが多い「シールディング」ですが、これを行うことで外部からのノイズを劇的に減らすことができます。

シールディングとは、ピックアップや配線類が収められているキャビティ(ボディの空洞部分)の内壁を、導電性のある素材で覆い、アースに落とす作業です。これにより、キャビティ自体が電子回路を外部の電磁波から守るシールドボックスとなり、ノイズの侵入を物理的に防ぎます。

主なシールディングの方法

導電塗料を塗る
カーボンや銅の粉末を含んだ専用の塗料を、キャビティ内部に刷毛で塗る方法です。ムラなく塗る必要がありますが、複雑な形状のキャビティにも対応しやすいのがメリットです。

導電テープを貼る
アルミ箔や銅箔のテープを、キャビティ内部に隙間なく貼り詰めていく方法です。テープ同士がしっかりと重なり、電気的に繋がるように貼ることが重要です。特に銅箔テープは導電性が高く、ハンダ付けも可能なため、アース線を直接接続できて便利です。

DIYで行う際の注意点

シールディング作業は自分で行うことも可能ですが、いくつかの注意点があります。
ショートさせない:貼り付けたテープや塗料が、ジャックのプラス端子など、アース以外の部分に触れるとショートして音が出なくなります。作業は慎重に行いましょう。
アースを忘れずに:シールディングした導電体は、必ずアース線でボリュームポットの裏側などに接続する必要があります。これを忘れると、逆にノイズを増やすアンテナになってしまいます。

シングルコイルピックアップを搭載したストラトキャスターやテレキャスタータイプのギターでは、特に効果を体感しやすい対策です。作業に自信がない場合は、リペアショップに依頼することもできます。費用はかかりますが、確実で美しい仕上がりが期待できるでしょう。

改善しないならエレキギター ノイズ 修理

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これまで紹介したセルフチェックや対策を試してもノイズが改善しない場合、あるいは「ギターの内部を開けるのは不安だ」と感じる場合は、無理をせず専門家である楽器店やリペアショップに相談するのが最も賢明な選択です。

ノイズの原因は多岐にわたり、時には複数の要因が複雑に絡み合っていることもあります。自分では特定できないような、ピックアップ本体の故障や、より根本的な回路の問題が潜んでいる可能性も否定できません。

プロに依頼するメリット

    • 正確な原因特定:専門家は知識と経験、専用の機材を用いて、ノイズの根本原因を正確に突き止めてくれます。
    • 確実な修理作業:ハンダ付け一つをとっても、プロの作業は仕上がりの美しさと信頼性が違います。大切な楽器を傷つけるリスクもありません。

総合的なメンテナンス:

    ノイズ修理と合わせて、ネックの反りや弦高調整など、ギター全体のコンディションをチェックしてもらうことも可能です。

「こんなことで相談していいのかな?」と遠慮する必要は全くありません。プロの技術者は、様々なトラブルを見てきているので、親身に相談に乗ってくれるはずです。まずは楽器を持ってお店に行き、症状を説明して見積もりを出してもらうことから始めましょう。

修理にかかる費用は、原因や作業内容によって様々です。簡単な配線修正であれば数千円で済むこともありますし、ピックアップやポットの交換となれば部品代を含めて1万円以上かかることもあります。しかし、ノイズのストレスから解放され、快適な演奏環境を取り戻せることを考えれば、十分に価値のある投資と言えるでしょう。

ギター ノイズ 触っても消えない時の確認点

  • 本来ギターのノイズは弦に触れると消えるのが正常
  • 弦に触れるとノイズが消えるのは「弦アース」が機能している証拠
  • 触ってもノイズが消えないのはアース回路の異常が第一に疑われる
  • 逆にノイズが触ると増える場合はアースの断線など重症の可能性が高い
  • 長年使ったギターは配線材や電子パーツの劣化もノイズの原因になる
  • 安いギターはコスト削減のためノイズ対策が不十分な場合が多い
  • ノイズ対策においてアース回路は最も重要な要素
  • まずはジャックのナットが緩んでいないかを確認する
  • 次に内部の配線を目視で確認しハンダ外れや断線をチェック
  • ギター本体に問題がない場合シールドケーブルの劣化を疑う
  • 別のシールドに交換してみるのが最も簡単な切り分け方法
  • キャビティ内を導電素材で覆うシールディングはノイズ対策に非常に有効
  • DIYでの対策に不安がある場合は無理をしないことが大切
  • 様々な対策をしても改善しない場合はプロのリペアショップに相談する
  • 専門家は正確な原因特定と確実な修理を行ってくれる
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